特定の友だちとしか遊ばない子。親はどう支えればいい?

たくさんの遊び相手のあいだを楽しそうに飛びまわる子もいれば、ひとりの子に深くなついて、その子とだけ遊びたがる子もいます。わが子が後のほうなら、ひとつの強い友だち関係は健やかなのか、それとも心配すべきことなのか、気になるかもしれません。たいていの子にとって、答えはほっとするものです。強い1対1のきずなは、友だちづきあいのまったく問題のない形で、少しずつ輪を広げるやさしいはげましと、いっしょに並んでいられます。

ひとつの深い友情は、強みであることも多い

広さより深さを好む子が、さびしい子、何かが足りない子だとはかぎりません。とくに静かで、繊細で、内向的な子は、大きなグループのにぎやかさより、ひとりの信頼できる友だちの安心の中でのびのびすることがよくあります。その近いきずなは、貸し借り、話しあい、けんかのあとの仲なおりを練習する安全な基地になります。どれも、人と関わる力の原材料です。だから、特定の友だちとしか遊ばない子を支えたいときの出発点は、その友だち関係を、直すべき問題ではなく、いいものとして見ることです。

子ども自身がどう感じているかに目を向ける

いちばん役に立つサインは、友だちの人数ではなく、子どもが自分の人づきあいをどう感じているかです。満足していて、楽しく遊んでいて、つらそうではない子は、たとえひとりパーティーでも、うまくやっています。そっと寄りそいたいのは、その友だち関係のことで不安そうにしているとき、その友だちがいないたびにひどく動揺するとき、その子が園を休んだり忙しかったりすると、誰もいなくなってしまうときです。数ではなく、気持ちを見ましょう。

無理じいせずに、そっと広げる

いやがる大勢の中へ押しだすのではなく、少しだけ子どもの世界を広げることができます。

  • ほかの子とも、気軽な1対1の遊びの時間をつくる。
  • 自然に何人かの友だちとかかわれる活動を、その子のペースで選ぶ。
  • 親友とさらにもうひとりを招いて、安心できるようにする。
  • 友だちがひとりよりたくさんいる、という考えを、あたたかく話してみる。
  • どこまで、どのくらいの速さで進むかは、子どものリードについていく。

親友といっしょに新しい子をひとり招くのは、やさしい橋になります。子どもは自分の錨を持ったまま、少し広い水に足の先をつけられます。いちから友だちをつくってきなさいと送りだされるより、ずっと安心に感じられるのです。

ぐらつきにそなえる

強い1対1の友だち関係はあれやすく、親友がひとりの子は、けんかを強く感じます。その友だちがほかの子と遊ぶとやきもちをやいたり、ぶつかった日には本当に胸がはりさけそうになったりするかもしれません。友だちにもほかの友だちがいていいこと、ひどい午後があっても友だち関係は続くことに、子どもが気づけるよう手伝いましょう。「あかりちゃんのお友だちでいながら、あかりちゃんがのあちゃんと遊んでもいいんだよ。どっちの場所もあるよ」。上がり下がりをふつうのことにすると、心が痛む瞬間のための立ちなおる力が育ちます。

その友だちがいない日のための計画を

親友がひとりだけのいちばん現実的な危うさは、その友だちが病気や用事で休んだ日です。子どもを置きざりにせずにすむよう、ひかえめなつながりをひとつかふたつと、なじみのよりどころをそっとつくっておきましょう。知っている、やさしい顔がもうひとり、あるいはひとりでも加われる、お気に入りの活動。特別な友だちの代わりをつくるためではありません。楽しい一日が、たったひとりの出席にまるごとかかっていないようにするためです。

親自身の心配を重ねない

自分の人づきあいへの望みを、子どもに重ねてしまうのはかんたんです。にぎやかなのが好きな親は、子どもがすっかり満足しているのに、友だちがひとりで損をしているのではと気をもむかもしれません。親が思いえがく「あるべき」交友ではなく、目の前の子を支えるようにしましょう。満足している、友だちひとりの子を、いつもグループの場へ押しだすと、逆効果になることがあります。不安になって、かえって引っこみやすくなるのです。子どものいる場所で出会いましょう。

親自身が、友だちづきあいのお手本を

子どもは、親を見て友だちづきあいについて多くを学びます。親がいろいろなタイプの友だちを楽しむ姿、そのひとりとの意見のくいちがいを乗りこえる姿、身近な人たちを大切にする姿を見せましょう。親しい友だちのこと、もっと気軽な友だちのこと、自分の友だちづきあいについて軽く話すと、友だち関係にはいろいろな形があって、ひとつの深いきずなは、そのすてきな形のひとつなのだという考えが、子どもにしみこんでいきます。

少し相談したいとき

ひとりの親しい友だちを好むのは、たいてい健やかで、手を出す必要はありません。でも、子どもがほとんどいつも本当にさびしそう、不安そう、元気がない、その友だちがいないとまったくやっていけない、その友だち関係そのものがいつも楽しくなさそう、かたよっている、ことばや人との関わりへのもっと広い心配といっしょにある、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校の先生に話してみてもいいでしょう。それは安心するための話しあいへの合図で、何かがおかしいというしるしではありません。

いい友だちがひとりいる、という強さ

特定の友だちとしか遊ばない子を支えるには、まず、そのきずなを足りないものとして扱うのではなく、大切にすることから始めましょう。友だちの人数を数えるのではなく子どもの気持ちを見て、その子のペースでそっと輪を広げ、気持ちのぐらつきにそなえ、たったひとつの欠席が一日をだいなしにしないよう、小さな予備をそっとつくっておく。いい友だちがひとりいることは、本物の人づきあいのやりとげたことで、その安心の基地から、もっと広い世界がゆっくり開けていきます。

ポイント: ひとつの深い友情は、友だちづきあいの健やかな形です。それを大切にし、輪はそっと広げ、その友だちがいない日に子どもが置きざりにならないようにしましょう。

American Academy of Pediatrics, The Power of Play

NHS, Help your child make friends