友だちの悪いことばや口ぐせをまねするとき、親はどうこたえる?
保育園から帰ってきた子どもが、できれば使ってほしくないことばを口にする。急にその子らしくないぐずり方をする。明らかにお友だちから仕入れたルールを言いはる。わが子がよくも悪くもほかの子のくせを吸いこんでいくのを見るのは、落ち着かないものです。子どもが友だちのまねをしたとき、親がどうこたえるかは大きな違いを生みます。そして、あわてるより、落ち着いてよく考えた道のほうが、ほとんどいつもうまくいきます。
まねは、子どもの学び方
心配する前に知っておくと助けになるのは、まねは小さな子が世界について学ぶいちばん大きな方法のひとつだということです。ほかの人、とくにあこがれている同じ年ごろの子を見て、まねをすることで、子どもはことば、遊びの力、人との関わり方、そして、ときには親がとばしてほしかったくせも身につけていきます。だから、友だちのまねをするのは、弱さや、芯がないしるしではありません。ふつうの、力強い学びのしくみが、まさにそのためにつくられたとおりに働いているのです。
本当は何が起きているのか見きわめる
まねにもいろいろあるので、反応する前にひと呼吸おきましょう。新しいことばをためして、どうなるか見ているのか。わざとぐずった声を出して効果をためしているのか。それとも、本当にお友だちの乱暴さを取りいれているのか。一回きりの実験は、大げさな反応がなければたいていひとりでに消えていきます。いっぽう、続いていて心配なくせには、もっとぶれないこたえ方がふさわしいでしょう。その違いを読みとれると、つかのまの時期を戦いに変えずにすみます。
反応は、ひかえめに
小さな子は反応に引きよせられます。親が大きく、あわてて反応すると、なくしたい行動をうっかり固めてしまうことがあります。子どもが乱暴なことばをためしたとき、親が息をのんでお説教すると、そのことばには力があるのだと見せてしまいます。落ち着いて、さらりとこたえるほうがうまくいきます。
- 新しいくせが出てきても、びっくりせずに、ふつうの顔で。
- わが家で大切にしていることを、シンプルに、大げさにせず伝える。
- 代わりにしてほしいことへ、気持ちを向けなおす。
- 望まない行動に、たくさんの注目をあげない。
- してほしい行動が出たら、ほめる。
反応をねらった行動はさらりと流し、望む行動をそっと強めていくと、まねしたくせは、どんなお小言よりも早く消えていくことがよくあります。
わが家の大切にしていることを伝えなおす
子どもは、家によってルールが違うという考えをもてます。だから、お友だちを悪く言わずに、そっと線を引けます。「うちでは、おたがいにそういう言い方はしないよ」。見たものを自動的に取りいれるのではなく、自分のふるまいは自分で選べるのだと教えられます。話の中心は親の期待に置き、ほかの子を悪い子だと決めつけないようにしましょう。決めつけると、その友だち関係が禁じられたものに感じられて、かえって魅力的になってしまいます。
友だちを禁止する前に、よく考える
友だち関係のせいにして、関わりを断ちたくなるものですが、それが最初の一手としていちばんいいことはめったにありません。まねしたくせのほとんどは一時的なもので、子どもが大切にしている友だち関係を断つと、その行動そのものより大きな動揺をまねくことがあります。逆効果になることもあります。禁じられた友だちは、かえって魅力的になりがちだからです。友だち関係から距離をおくのは、本当に害があって続いている場合のためにとっておき、そのときでさえ、いらだちにまかせるのではなく、よく考えてしましょう。
学びのチャンスにする
まねは、両方向に働きます。そしてそれを味方にできます。子どもが友だちから身につけたいいことにも気づいて、ほめましょう。そうすれば、まねは自分でかじをとれる選択なのだと学べます。少し自分で考える力をつけることもできます。「お友だちがしてても、あなたがしなきゃいけないわけじゃないよ」。自分がまねしていることに気づいて、そうしたいかどうか決める手助けをすることは、のちに友だちからのプレッシャーが大きくなっていくときに必要な、自分で舵をとる力の、早いうちの種まきになります。
もっと広い全体を見る
まねした行動が、何かの必要を満たしていることもあり、それが何かを考えてみる価値があります。急にお友だちのようにぐずりはじめた子は、注目を求めているのかもしれないし、何かを大変に感じているのかもしれません。もっとつながる、むずかしい気持ちを手伝うなど、その奥の必要にこたえるほうが、表面のくせにとりくむより効果があることがよくあります。家でも、望むふるまいのお手本を見せつづけましょう。子どもにいちばん大きな影響を与えるのは、今も、だんぜん親なのですから。
少し支えを求めたいとき
友だちからくせをもらってくるのはよくあることで、たいてい害はありません。でも、本当に危ない、乱暴な行動をまねして、落ち着いていつも同じようにこたえていても続いている、子どもがいやなことをするようにプレッシャーをかけられたり、引きずられたりしているサインがある、まねといっしょに、行動、気分、発達へのもっと広い心配がある、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の担任の先生に話してみてもいいでしょう。それは支えのある話しあいのための合図で、ふつうのまねが問題だというしるしではありません。
まねの時期は、通りすぎていく
子どもが友だちのまねをしたとき、親にできるのは、落ち着いて、本当は何が起きているのかを見きわめ、反応をひかえめにして、気を引くためのくせに燃料をあげないことです。友だちを悪者にせずにわが家の大切にしていることを伝えなおし、友だち関係を禁止する前によく考え、まねをふるまいは選べるのだと教えるチャンスにしましょう。友だちから身につけたくせのほとんどは一時的なもので、家での親のゆるがないお手本は、そのすべてよりも重いのです。
ポイント: まねは、ふつうの学びです。落ち着いてこたえ、友だちを禁止せずにわが家の大切にしていることを伝えなおし、気を引くためのくせには燃料をあげずに、消えていくのを待ちましょう。