友だちに「いやだ」と断られて泣く子に、受けとめる力を育てるには

「いやだ、やりたくない」。小さなこのひと言で、小さな子はぺしゃんこになってしまうことがあります。遊びをことわられた、順番をゆずってもらえなかった、ほかの子と遊びたいと言われた。「いや」を聞くことは、小さいころの友だち関係のなかでも、むずかしい部分のひとつです。くずれたり、手を出したりせずにそれを受けとめるのは、本物の力で、時間をかけて根気よく育てていけるものです。

「いや」がこれほどこたえるわけ

小さな子にとって、友だちにことわられることは、とても大きく、自分に向けられたものに感じられることがあります。気持ちは大きく速く動き、物事をひいて見る力はまだ育っている途中で、たった一回の「いや」を「今はいや」ではなく「あなたがきらい」と読みとってしまうことがよくあります。そのうえ、がっかりを扱うのに必要な、自分をおさえる力もまだ発達の途中です。だから、「いや」のあとのかんしゃくや押しのけは、たくらみではありません。まだひとりでは扱えない気持ちにのみこまれた子なのです。

まず、気持ちから

友だちに断られたときの最初の一手は、動揺を急いで通りすぎるのではなく、受けとめることです。見えたことをことばにしましょう。「あの遊び、すごくしたかったのに、りおちゃんにいやって言われちゃったね。がっかりだね」。これは一度にふたつのことをしてくれます。その気持ちは持っていいのだと子どもに見せ、そうでなければ心の中でぐるぐるするだけの体験に、ことばをあててくれるのです。わかってもらえたと感じる子は、ばかなこと言わないでと言われた子より、ずっと早く落ち着きます。

「いや」と、自分の価値を切りはなす

嵐がおさまってきたら、もう少し広い見方をそっとさしだしましょう。友だちがひとつのことに「いや」と言っても、それはずっとこばまれるということではありません。「今は鬼ごっこしたくなかったんだね。でも、あなたのことは好きだよ」。小さな子は白か黒かで考えるので、まわりの大人が灰色の部分のお手本を見せる必要があります。人は「いや」と言っても友だちでいられるし、今日の「いや」で明日のドアが閉まるわけではないのです。

次の一手をあげる

大きな気持ちは、それを使ってできることがあると、小さくなります。ことわられた地点に子どもを置きざりにするのではなく、選べることが見えるように手伝いましょう。

  • ひと呼吸して、がっかりが落ち着くのを待つ。
  • 友だちの遊びが終わってから、あとでもう一回たずねる。
  • ふたりとも楽しめそうな、別の遊びを提案する。
  • 今は、ほかに楽しいことを見つける。
  • 「いや」をやさしく受け入れて、次へ進む。

家でごっこ遊びをしながら練習しましょう。「いや」と言う役を交代でやると、子どもは両方の側を体験して、「いや」は大惨事ではなく、遊ぶことのふつうの毎日の一部なのだと学びます。落ち着いているときにリハーサルしておくと、本物の瞬間に圧倒されにくくなります。

人の「いや」を大切にすることも教える

このテーマの中には、もうひとつの、同じくらい大切な学びがかくれています。子どもは、友だちの「いや」を気持ちよく受け入れることも学ぶ必要があります。それを押しきると友だち関係がきずつき、大切な線があいまいになるからです。「お友だちがいやって言ったら、ちゃんと聞こうね。やさしくたのんでもいいけど、無理にはしないよ」。「いや」を負かすものではなく、大切にするものとして伝えると、子どもはまわりから信頼される遊び相手になれますし、同意を理解するための、早いうちの土台にもなります。

そのあとは、落ち着いて

「いや」のあとに、たたく、ひったくる、大かんしゃく、となったら、はずかしめを重ねずに、行動にこたえましょう。みんなの安全を守り、落ち着いて、子どもが落ち着いてから、次は何ができるかを短く話します。熱くなっている最中の長いお説教は避けましょう。学びは嵐のまっただなかではなく、あとの静かなふり返りの中で起きます。子どもが上手に「いや」を受けとめられたときには、気づいてあたたかく受けとめましょう。いい瞬間に目を向けると、いい瞬間が増えていきます。

親自身の反応に気をつける

子どもは、親から合図を受けとります。小さなことわりで親が救助モードに入り、つかつかと直しに行ったり、見るからに動揺したりすると、子どもは、やっぱり「いや」は一大事なのだと学びます。「まあいいか、またあとでね」とのんびりこたえる姿は、どんなお話より多くを教えます。毎日の暮らしの中で、親が小さな「いや」を大さわぎせずに受け入れる姿を見せましょう。

少し支えを求めたいとき

友だちの「いや」に苦戦するのは、小さいころにはまったくふつうのことで、自分をおさえる力が育つにつれてやわらいでいきます。でも、2歳ごろをとうに過ぎても、どこにいても、ほとんどどんな「いや」にも極端で長いつらさや乱暴さでこたえる、たっぷり支えてもなぐさめられず、気持ちを切りかえられない、気持ち、ことば、友だちとの関わりへのもっと広い心配もいっしょにある、という場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の先生に話してみてもいいでしょう。それは役に立つ話しあいへの合図で、心配の種ではありません。

「いや」は、乗りこえられる

友だちに断られた子を手伝うには、まず気持ちに名前をつけ、一回の「いや」がまるごとこばまれたように感じないよう見方を広げ、ためせる具体的な次の一手をあげることです。そして同じくらい大切なのは、人の「いや」も大切にするよう教えること。時間とあたたかさと、失うもののない練習をたっぷり重ねれば、「いや」を聞くことは大惨事ではなくなり、友だちがいることの、ふつうで、乗りこえられる一部になっていきます。

ポイント: まずがっかりに名前をつけ、それから、一回の「いや」はこばまれたことではないと思いださせて次の一手をさしだしましょう。同時に、人の「いや」も大切にすることを教えます。

NHS, Help your child manage their feelings

American Academy of Pediatrics, How to Help Your Child Manage Emotions