友だちの輪に入れず、見ているだけの子。親にできること
公園やお誕生会に着くと、子どもは親のとなりにぴたっとくっついて、ほかの子たちを興味しんしんで見ているのに、仲間に入ろうとはしない。ほかの家族の子がすぐにとびこんでいくように見えると、なおさら、ひそかに心配になるものです。でも、たいていの場合、このじっと見ている間は、直すべき問題ではなく、支えてあげたいふつうの段階です。プレッシャーをかけずに親にできることは、たくさんあります。
見ていることも、遊びのうち
一歩下がって観察するのは、小さな子の遊び方として知られている一部です。遊びに加わる前に、多くの子はそれをよく見ています。誰がいるか、どんなルールらしいか、安全で楽しそうか。このながめている段階は、慎重な子がとびこむ前に情報を集めるやり方なのです。だから、友だちの輪に入れずに見ているとき、親がまずできることは、ただ見方を変えることです。子どもは遊べていないのではありません。遊ぶ準備をしているのです。
立ちどまっている理由
子どもが一歩下がる理由はいろいろで、どれが働いているかわかると、うまくこたえられます。気質のこともあります。もともと慣れるのに時間がかかり、新しい場所では慎重な子もいます。状況のこともあります。なじみのない場所、にぎやかなグループ、知らない子たち。力がまだ追いついていないこともあります。入りたいけれど、どうすればいいかまだわからないのです。そして、ただ好みのこともあります。楽しそうに見ている子が、かならずしも楽しくないわけではないのです。
押したくなる気持ちをこらえる
「ほら、遊んできなさい」と言ったり、輪のまんなかへ子どもを押しだしたりすると、たいてい裏目に出ます。ただでさえ大きく感じられている瞬間にプレッシャーを足し、慎重な子に、自分の落ち着かなさはふみにじられるのだと教えてしまいます。代わりに、あたたかく、いつでもそこにいて、親がいることを、準備ができたら出かけていける安心の基地にしてあげましょう。急がせても、早くなることはめったにありません。
自信を育てる、小さな一歩
- 近くで落ち着いていて、子どもに安心の基地をあげる。
- 見えたことをことばにする。「あの子たち、ひみつきちをつくってるね」
- グループの近くにボールを転がすなど、ごく小さな最初の一歩をさしだす。
- 場所がこみあって圧倒される前に、早めに着く。
- 大勢ではなく、ひとりの子を入口にする。
早めに着くのは、あまり知られていない工夫です。遊びがもう真っ最中の部屋に入っていくのは、遊びが始まっていくところで最初のほうにいるより、ずっとむずかしいのです。同じように、にぎやかなグループより、ひとりのやさしい子のほうがずっと気おくれしないので、1対1の時間へと向けてあげると、大勢の中で固まってしまう子がふっとほどけることがあります。
ことばと、入り方を渡す
どうすればすきまをこえられるかわからないから、見ていることが続いている、という場合もあります。入るときのひと言を、そっといっしょに練習しておきましょう。「いーれーて」「何つくってるの?」。家でごっこ遊びをしながら練習すれば、ことばがなじみます。親がお手本を見せることもできます。子どものとなりで小さな遊びに親が加わり、子どもが親の入り方に乗っかって、落ち着いたら自分が引きつぐのです。
声かけは、短く、ひかえめに。ずっと実況するより、そっとささやく提案のほうがよく、提案したら一歩下がることで、子どもが動く余地ができます。
その子のペースについていき、小さな「できた」を祝う
小さな一歩に気づいて、あたたかく受けとめましょう。少し近づいた、顔を上げてにこっとした、ボールを転がしかえした。「あの子にこんにちはって言えたね。勇気が出たね」。小さなことを大ごとにするような大げさなほめ方は避けましょう。人の目が気になる子は、引っこんでしまうことがあります。めざすのは、ある午後に突破口が開くことではなく、何週間、何か月とかけての、ゆるやかな上り坂です。
くり返し行くなじみの場所は、とても大きな助けになります。同じ子育てひろば、同じ顔ぶれ、同じ流れ。行くたびにハードルが下がっていくので、続けることが、たくさんの静かな仕事をしてくれます。
少し相談したいとき
慎重に見ているのはよくあることで、時間とやさしい支えで、たいていやわらいでいきます。でも、ためらいが強く、いろいろな場所で長く続いていて、とくにほかのサインもいっしょにある場合は、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の担任の先生に気軽に話してみましょう。目が合うことや、何かへの興味を人と分かちあうことがほとんどない、やりとりのある会話が少ない、前はできていたことができなくなった、心地よい場所でさえ人を避けるほど不安が強い。したいことができなくなるほどの、強く続く人見知りも、話してみる価値があります。これは心配するためではなく、話してみるための理由で、支えは早いほうが受けやすいのです。
ゆっくり慣れる子を、信じて待つ
友だちの輪に入れずに見ている子は、たいてい、加わる前に観察しているのです。親にできるのは、落ち着いて、押すのをやめ、ちょうどいいタイミングの小さな一歩を遊びへとさしだすことです。あたたかくいつでもいること、なじみの場所、やさしい1対1、練習しておいた入り方のひと言は、どんなはげましのことばよりもずっと多くのことをしてくれます。ゆっくりした慣れを信じて、その子に必要なペースで、自信が育つのを待ちましょう。
ポイント: 加わる前に見ているのは、ふつうのことです。押すのではなく、落ち着いた基地と小さな一歩をさしだし、時間をかけて自信が育つのを待ちましょう。